不登校と愛着理論

こんにちは、カウンセラーの古畑えりです。

以前に、共感しているつもりなのに子供の状態が良くならない場合、親御さんがそもそも共感とはどういった状態なのかわかっていないという話に触れました:

今日はそれに関連して、なぜ「共感」はそこまで大切なのかについて話していきたいと思います。

ジョン・ボウルビーの愛着理論

皆さんは「愛着理論」って聞いたことがありますか?子供は乳幼児期に、どのように親から愛情を受けたかによって愛着関係が構築され、その愛着関係がその後の人格形成の基盤となるという考えをアタッチメント(愛着)理論と言います。愛着理論は、イギリスの児童精神医学者ジョン・ボウルビーという学者さんによって提唱されたようですが、その後他の概念等が取り入れられ、児童心理のみならず、大人のパートナーシップ等の問題にも広く採用されるようになりました。

私は子供たちの父親とは離別していますが(その後死別)、この愛着理論について学んだのは、離婚後の苦しさから抜け出すためにパートナーシップについて学んだ時でした。

図で説明しますので図を良く見てくださいね。
不登校と愛着理論

愛着のスタイルは4パターンです:1.安定型 2.とらわれ型 3.拒絶型 4.回避型 があり、縦軸に親密性を避ける傾向にあるか、横軸に不安が大きいかどうか、があります。

1.安定型(Secure)

最も望ましいスタイルです。他者と親密関係を築くことができ、問題なく人を頼ったり頼りにされたりすることができる。親から十分に受け容れられ、健全な愛着関係が育まれた状態。

2.とらわれ型 (Preoccupied)

相手に非常に高い親密性を求め、相手によって承認欲求を満たそうとする。高い応答性を求め、相手が同じようなレベルの親密性を求めていないことに不安を感じる。いわゆる構ってちゃん型ですね。

3.拒絶型(Dismissive)

親密な関係を築くのが難しく、高い親密性を求められると不快感を感じそれを拒絶する傾向にある。感情を表に出さない。自己充足が重要であると考えるため、一見自立したように見えるが、実際には他人を信頼しないことに起因している。

4.恐れ型(Fearful)

他者との親密性を求めてはいるものの、関係が近くなると傷つくのではないかという恐怖によって相手を信じることができない。見捨てられ不安が強いと、分離不安が強くなる。

自己分析

青で丸をつけましたが、私も元夫も「とらわれ型」で、見捨てられ不安が強いタイプで、いわゆる依存型ということがわかりました。そして不登校になった長男は青の矢印で指した「恐れ型」であったかと。

不登校の解決は学問ではありませんので、ひとつの心理学的理論について研究する必要はありません。けれどもこの表を見れば自分やご主人はどんなタイプなのかな、と考えることができ、それぞれの振る舞いには育ちが影響していると思いを及ばせることができるようになります。特に不登校のご家庭における親御さんは、私と同じ「とらわれ型」か、「拒絶型」が多いかと思います。

「拒絶型」の方は、仕事ができる人が多く、一見自立した「安定型」の人のように見えるのですが、夫(奥さん)や子供の感情に極端に無関心であることもあります。子供の頃、親が自分の感情に無関心だったから、夫(奥さん)や子供の感情にも関心が持てず、もっと言えば自分の内面にも無関心であったりします。

ご主人が「拒絶型」で奥さんが「とらわれ型」であった場合、コミュニケーションを取るのが非常に困難ではないかと思います。全く気持ちを理解されず、パートナーである奥さんは話をしようとするだけでも苦労するかと。しかしその難しい性格の背景にあるものは、親から感情を拒絶され続けたというご主人の悲しい子供時代の姿かと思うと、少し歩み寄ってみようという気持ちになれるのではないでしょうか。

愛着関係の問題を解消するカギ

それぞれの型がわかったら、今度はその愛着関係を「安定型」に引き戻す作業が必要です。愛着関係の問題が改善したら、お母さんの心は楽になりますし、それに連動して家族皆の状態が良くなります。そして子供は外の世界へとつながりを求めていきます。

その手段のひとつが共感なのです。だから共感はそこまで大切なのです。

共感については何度も触れてきましたが、まず何よりも大事なのは、自分の気持ちに共感してあげることです。ある人にとってはとても辛い作業になるかも知れませんが、子供の頃に親から繰り返しかけられた言葉を思い出して書いてみましょう。そしてその感情に寄り添ってあげ、本当は何を言って欲しかったのか、その言葉をかけてあげる。その上で、子供にも同じ言葉をかけてしまってはいないか振り返り、自分が言って欲しかったことに置きかえられるよう努力することが大事かと思います。

共感を知らずに育ったものにとって、共感は難しいです。

けれども実は本当は、シンプルなことでもあり、誰でもできるようになることなのです。

今日も最後までありがとうございました。

Eri

チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラー。中学生の息子の不登校・引きこもりを経験。子供の不登校に悩むお母さんが、自宅にいても問題解決に導くことができるように独自のメソッドを提唱。

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